日本サッカーを本気で強くするには、J3チームの拡充は必須

コラム

まずは大喜利

設問:「日本サッカーを強くするには、どうしたら良いか。」

解答:「△ (ほんださんかっけー)のメンタルを、全ての日本人選手が身につける!」

ハードル高っ!
もちろん、のびしろは否定しません。

本題・下部リーグの強化は至上命題

冒頭から大喜利スタートになりましたが、真面目に戻ります。
改めて「日本サッカーを本気で強くするには、どうしたら良いか」です。

答えは、J3チームの拡充です。
まずは選手層を厚くしましょう。

プロ選手の在籍するチーム数は、多ければ、多いほうが良いです。ピラミッドの底辺が充実するほど、頂点のレベルは自然と上がります。受け皿が広ければ、才能の取りこぼしはなくなります。プロになれるかどうかのラインは、曖昧で、ちょっとしたツキの有無で道を断たれている者もいます。
また、ピラミッドが厚ければ、磨かれた才能の発見も早いです。下位カテゴリーから駆け上がる、シンデレラストーリーも増加するでしょう。

チーム数の考察

では、具体的にどこまでJ3を拡大させるか。

現在、日本のリーグは、J1に18チーム、J2に22チームで、2部以上のクラブは計40チームです。競争力のあるピラミッド構造を求めるなら、少なくともJ3のチームは40チームは必要です。最低でも、東西にリーグを分ける必要があります。

これは運営上の問題になります。移動距離が長いと、現地観戦するサポーターの数は減ります。下位カテゴリーでは、集客と維持費の問題に頭を悩ませています。ホームスタジアムは、ホームサポーターで常に満員なら良いのですが、下位カテゴリーになるほど難しいです。下のディビジョンから、上のディビジョンに上がれば、観客動員は増えます。逆に、上のディビジョンから下のディビジョンに下がると、観客動員は減ります。下位カテゴリーで観客動員を維持するには、対戦相手との物理的なホームタウンの位置が、近いほど良いです。近い距離ほど、足を伸ばして見に来てくれる人数は増えるからです。またアウェー側の観客動員は、運営を左右する重要な要素となります。ホーム側の観客は、年間チケットを利用している人も多いです。年間チケットは、1試合あたりに換算すれば、割引チケットにあたります。その点、アウェー側の観客は、1試合のみとはいえ、通常価格のチケットを購入してくれます。アウェーまで遠征してくれる、熱狂的なサポーターというのは、非常にありがたい存在です。ただ、さすがに物理的な距離の影響は受けます。東北のクラブチームに、九州のチームが挑む場合と、同じ東北のチーム同士で、隣の県から来る場合では、雲泥の差となります。有名選手の在籍するトップリーグですら、距離の影響は受けます。下位リーグとなれば、なおさらです。

望ましいのはJ4の創設

もし、J4のカテゴリーまで作れるのであれば、少なくとも60から80チーム、できれば120チーム程度を目指したい所です。J4に関しては、プロアマ混合でも構いませんが、J3以上はプロクラブで、構成する必要があります。

これほどの数のプロクラブを維持できるか、についてですが、ブラジルを例にしてみます。サッカー王国ブラジルでは、サッカー協会の数値として、およそ800程度のプロクラブが存在する、としています。およそ、というのは、現地ですら正確な数が把握できていません。推定でも300から600ぐらいのプロクラブが活動しています。

仮の数値となりますが、J1とJ2の計40チーム、J3は拡充を続けて40チーム、J4を創設して、こちらも努力して、120チームまで増やしたとします。全カテゴリーを合計して上位80チームはプロのみで構成され、下位120チームはプロアマ混合の、合計は200チームになります。日本の経済規模であれば、十分賄える範囲です。

さらっと、賄えると断言しましたが、現実的には相当な困難が伴います。そこで2つのアイディアを提案します。

Bチームで遠方の地域にホームタウンを増やす

1つ目はBチームの創設です。すでにU-23というカテゴリのチームを抱えているクラブがありますが、それでOKです。まだU-23を所持していないチームもありますが、Jリーグではユースチームの設置が義務付けられています。カテゴリーとしては、高校生以下なので、U-18になります。そこからプロになれるのは、多くても年に数名です。年によっては昇格ゼロもあるほど、プロの門は狭いです。そのU-18を少しだけ延長して、U-23にスライドして、さらに、年齢制限のないプロを数人混ぜるだけです。あっという間にプロアマ混合チームは完成します。J1とJ2の40チームから派生するBチームだけで、40チーム増やせる計算です。

維持費に関しては、協会の賞金分配のリバランスで対応するのが望ましいです。放映権料が増えて、トップカテゴリーの賞金額が増えましたが、賞金額を増やすのではなく、下位カテゴリーの創設と維持費に回す案になります。トップカテゴリーに渡される1億円と、下位カテゴリーに渡される1億円では、同じ金額でも、重みが異なるからです。

増やしたBチームについてのアイディアですが、丸ごと貸し出しという案もあります。町おこし、村おこしとして、チームごとレンタルする案です。関東のチームであれば、関西に。関西のチームであれば、関東に。といったように、別の地域にBチームのホームタウンを作ります。新規サポーターの獲得にもつながるはずです。

他国のアンダー代表を受け入れ

2つ目のアイディアは、下位リーグでの外国籍チームの許可です。FIFA、AFCの絡みもあって、トップディビジョンで、選手全員を外国籍にすることは難しいです。しかし、下位リーグであれば、他国のアンダー代表が、そのままチーム強化の一環として、他国のリーグに参加した例があります。下位リーグについては、緩いというか、実験的な要素を許されている側面があります。

そこで提案するのは、Jリーグが提携しているアジア地域の、アンダー代表を丸ごと抱える案です。例として、タイやインドネシアのU-20チームを、J3に編入させます。チーム名が問題になるのであれば、特例として、外国籍枠は設けず、ただし、J3より上には昇格できない、というクラブチームにします。

この案の場合、日本人選手の受け皿としての、メリットは低いのですが、放映権料の収入増加が見込めます。サッカーでは、各チームに、エースと呼べるような人材が必ず出て来ます。サッカーでは、どのようなカテゴリであっても、チームで一番上手な選手にボールは集まります。先の例でいえば、タイやインドネシアのU-20チームにも、必ず、エースは生まれます。ポイントは、今いるメンバーの中から、エースが生まれることです。飛び抜けた才能を持った選手がいた場合、そもそも来日せずに、飛び級で母国の1部リーグに参加しているでしょう。しかし、日本に存在するU-20チームの中で、次のエースが誕生します。

そのエースを、上のカテゴリで引き抜きます。放映権を高く売るためには、その国出身の選手は絶対に必要です。どこの国でも、海外リーグを視聴する層は、母国のスター選手を追いかける傾向が非常に高いです。視聴者は、母国出身選手の活躍を見たいのです。エースを引き抜けば、次のエースは生まれます。それを引き抜き続けることで、3部、2部、1部にそれぞれ在籍しているような状況になれば、安定した視聴層を確保できます。海外のスポンサー収入も計算できるでしょう。

ちなみに、他国の1部リーグからエースを引き抜くよりも、下位リーグからステップアップとして、引き抜く形式の方が容易です。クラブも選手もステップアップと理解し易いからです。また、どの国のリーグでも、サッカースタイルには特徴があります。ある国のリーグで活躍したからといっても、他国のリーグで活躍できるとは限りません。その点、下位リーグであれば、日本のサッカースタイルに対する慣れもあるので、戦力としても計算しやすいです。

スモールクラブの立地について

2つほどアイディアを出しましたが、クラブの所在地(クラブを設立する立地)について、補足します。プロアマ混合チームのようなスモールクラブは、観光地、とりわけ温泉観光地のような立地をおすすめします。宿泊施設が整っていて、遠方からのお客さんが来やすい点と、練習風景そのものを、観光の目玉にできるからです。全国温泉地ダービーといった、ダービー名称で煽ることもできます。ダービーマッチは、名称を設定するだけでも、観客増加の効果があります。

まとめ

日本サッカーを強くするには、J3チームの拡充は必須です。プロの人口ピラミッドが増えれば、才能の取りこぼしは無くなり、ピラミッドの頂点は、よりハイレベルな選手の集合体となります。