【サッカー日本代表】歴代ベストイレブンの解説【JFA公式2020】

bestelevenjfa2020 コラム

JFA ファンが選ぶサッカー日本代表ベストイレブン 結果発表
https://www.jfa.jp/news/00025298/
投票数 7,520

GK
川口能活

FP
内田篤人
遠藤保仁
小野伸二
中澤佑二
中田英寿
長友佑都
中村俊輔
長谷部誠
本田圭佑
三浦知良

JFAでは、フィールドプレイヤーの配置はしていませんが、サッカーダイジェストでは、ポジションごとに選手を当てはめています。採用しているシステムは、4-2-3-1です。日本代表で用いられることの多いシステムに当てはめたのか、それとも、編集部の担当の好みなのかは、判断できませんが、メンバー表を眺めると、(筆者としては)3-6-1で並べるほうが妥当な気がします。

サッカーダイジェスト
三浦知良、中田英寿、小野伸二…JFA発表のファンが選ぶ「日本代表」ベストイレブン!布陣に当てはめてみると…
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=78879

ぱっと見でわかることは、『2010 FIFAワールドカップ南アフリカの日本代表メンバー』が軸です。23人枠に入っていないのは、3選手のみ。三浦 知良、中田 英寿、小野 伸二です。ベストメンバー企画は、監督や選手にしてもらうと、かなり変わってきます。サッカーに詳しいぶん、チームの軸となる選手を決めてから、バランスを取ることが多いです。その点、純粋な人気投票だと、ファンの知名度も重要になってきます。

GK 川口能活

神懸るの申し子です。極めて妥当な選出でしょう。他の候補といえば、「川島 永嗣」「楢崎 正剛」を挙げる人が多いです。近年の実績ベースなら「川島 永嗣」に軍配は上がります。川島選手はW杯3大会連続出場、ベルギー・スコットランド・フランスの1部リーグで、出場経験があります。しかし、ベストイレブンは人気投票ですから、試合のインパクトも大事です。

川口選手といえば、マイアミの奇跡も有名ですが、やはり、AFCアジアカップ2004中国大会、決勝トーナメントのヨルダン戦です。あのPKは、まさに『神懸る』ビックセーブの連発でした。あのドラマチックな展開を目撃したら、監督のジーコが「川口 能活」を全面的に信頼するのは、当然なのかな、と思います。

PK戦に費やした時間は長かったのですが、当時のドキドキ感からすると、それほどの時間が経過したとは思えないほどの、濃密な時間でした。

伝説の試合でもある、ヨルダン戦のPK戦は、日本の先行で始まります。最初のキッカーは中村俊輔。キックの名手としては、あり得ないほど、ゴールの枠から大きく外します。明らかに芝生の影響です。次にヨルダンの選手が蹴って、日本のネットを揺らします。0-1の状況で、次のキッカーは三都主アレサンドロ。またもや、ゴールから大きく枠を外します。

2名連続で枠を大きく外したのですから、本来なら、物議をかもす場面です。ですが、このPK戦は違いました。ペナルティスポットの芝生の状況が悪くて、左利きの選手は、踏み込みと同時に、芝生がゴソっと大きくズレるので、まともに蹴れません。

そこで、日本の主将である「宮本 恒靖」がレフリーに直談判。日本側の主張が認められて、まさかの場所変更です。ピッチサイドを変更して、PK戦を続行するのですが、この交渉シーンも、とても珍しいです。

文章を書いている内に、懐かしくなったので、ネットで動画を検索してみました。

アジアカップ2004 準々決勝 日本対ヨルダン PK戦
https://www.youtube.com/watch?v=3PExqfLQh5A
(18分11秒)

18分も経過しているPK戦ですが、濃密な時間でした。改めてみると、1度PKを蹴った三都主選手が、トボけてもう1度、PKを蹴ろうとしている姿に、思わず笑ってしまいます。(こういう姿勢は大事です!もしかしたら、判定が覆る可能性もあります)

当時は気づかなかったのですが、動画に印象的なシーンがあります。映像の切れる直前に、川口選手と楢崎選手が会話しているのですが、GKの楢崎選手、めちゃめちゃ興奮してますね。

DF 長友佑都、中澤佑二、内田篤人

DF部門は、3名選ばれました。人気投票にありがちな『DF1枚減らして3バック、なのに両サイドは攻撃的な選手!』問題が発生しています。企画あるあるの定番パターンです。許容するのが大人の対応です。

改めてみると、センターバック1名に、サイドバック2名という、超攻撃的な布陣。おそらく、選ばれた3名の誰に尋ねても、センターバックを1枚増やして欲しい!と要求するでしょう。

サッカーダイジェストでは、その暗黙の要求(?)を受け入れて「長谷部 誠」をセンターバックに配置しています。(クラブではともかく、代表ではボランチです!)サッカーダイジェストなりの優しさにあふれていますが、ファンが見たいのは超攻撃的な3バックです!

もっと言えば、
「アンカーの位置に入った、キャプテン長谷場が介護で過労死しそう!」
「でも、そこを整えてしまうのが、我らのキャプテン!」までが王道です。

そんなわけで、採用システムは4-2-3-1ではなく、超攻撃的な3-6-1です!

DF部門ですが、選ばれた3名以外の候補を挙げます。近年の実績ベースだと、センターバックに「吉田 麻也」です。あとはそうですね、定番のジョークになりますが、3バックを採用するなら、

田中 マルクス 闘莉王

の3枚で!!

MF 中田英寿、中村俊輔、小野伸二、遠藤保仁、長谷部誠、本田圭佑

6人選出されました。ですが、もしポジション無関係で、純粋な人気順で選出したら、MFの人数はもっと増えるかも知れません。これは当たり前の話で、いわゆる10番のポジションを担える人材は、チームの花形ですから、自然と人気も高くなります。

そうそうたるメンバーですが、並べてみると本田選手が若手です。()内は本田選手を基準にした場合の学年になります。

中田 英寿 1977年1月22日 (+10学年)
中村 俊輔 1978年6月24日 (+8学年)
小野 伸二 1979年9月27日 (+7学年)
遠藤 保仁 1980年1月28日 (+7学年)
長谷部 誠 1984年1月18日 (+3学年)
本田 圭佑 1986年6月13日 (34才)

年齢基準だと「中田 英寿」より上の年代だと「名波 浩」、「本田 圭佑」より下の年代だと「香川 真司」が入ってきそうです。どちらも10番タイプの選手で、華のあるプレイヤーです。レジェンド枠だと「奥寺 康彦」ですが、投票している年齢層とのズレもあるでしょう。

真面目な解説を少しします。
日本代表の特徴としては、この人気メンバーに割って入るほどの、サイドの人気ドリブラーが、それほど思いつかない点です。強豪国の場合、ドリブラーの有名選手が居ることが多いのですが、日本代表は見事にパサー系の10番タイプばかりです。

近年のドリブラーとして、パッと思いつく範囲だと、「松井 大輔」「石川 直宏」「乾 貴士」「齋藤 学」「原口 元気」「伊東 純也」です。もう少し年代をさかのぼれば、「前園 真聖」「本山 雅志」です。レジェンド枠は「杉山 隆一」。

歴代のベストイレブンに選ばれるには、今選ばれている6名に割って入らないといけません。個人の好みはともかく、ドリブラータイプで、得票数を伸ばすのは難しそうです。今後に期待したいところです。もし、この6人に割って入るドリブラーが登場したら、日本サッカーは、一段高い位置に到達しています。

その他、一般論になります。MF部門は最も熾烈な争いになるのですが、今後、似たような企画があった場合、「香川 真司」は入る可能性があります。このような企画の常として、実年齢の高い選手から外れていき、次の世代へバトンタッチするからです。

FW 三浦知良

ここは鉄板です。むしろ、人気投票でカズが外れるとしたら、ファンの年齢層に変化があった場合です。近年の実績ベースでいえば「岡崎 慎司」です。レジェンド枠は「釜本 邦茂」。(日本代表の通算ゴールで、50ゴールを越えているのは、この3名です)

日本代表は、人気選手がMFに集中しています。ツートップなら、ともかくワントップとなると「岡崎 慎司」以上の実績を求められるので、相当ハードル高いです。岡崎選手は、W杯3大会連続出場。ドイツ、イングランド、スペインと、世界のトップリーグを渡り歩いています。しかも、イングランドのプレミアリーグでは、奇跡と呼ばれた、レスターの優勝メンバーの1人です。

まだ現役選手とはいえ、三浦カズの全盛期について、知らない世代も増えてきました。たまにネット上のコメントでも、知らないゆえの誤解があります。三浦カズは、日本代表史上でも、屈指のレジェンドです。

Jリーグ元年である、1993年の開幕節『ヴェルディ川崎vs横浜マリノス』の視聴率は、32.4%です。当時の注目度の高さが伝わってきます。Jリーグ元年のスーパースターは、まぎれもなく三浦カズでした。同年のJリーグMVPを受賞。そればかりか、アジア年間最優秀選手賞も受賞しています。

実は、今回のベストイレブン企画で、唯一ワールドカップに出場していないのは、カズだけです。当時、日本代表のエース中のエースとして、キングの異名を轟かせていました。ワールドカップのアジア予選では、各国とも、要注意人物として、キング・カズを警戒していました。得点を量産していたばかりか、アジア屈指のスターとして輝いていました。

ちなみに、1993年は日本サッカー界にとって、メモリアルな年度でもあります。Jリーグ元年であり、かつ、ドーハの悲劇の起きた年です。

ある意味、日本中の人々がサッカーに目覚めた年でもあります。
(そして、熱狂の最中、どん底に叩き落とされました。)

ドーハの地において、三浦カズは泣き崩れる選手達の象徴でした。チームを引っ張るエースでしたから、当然です。幸いにも、すぐに雪辱の機会が訪れます。次のフランスワールドカップの予選が始まり、再び、エースとして、三浦カズに注目が集まります。

4年の歳月を経て、夢に見たワールドカップ初出場!
ジョホールバルの歓喜です。

ついに日本は、アジアの壁を乗り越えて、世界へ挑む挑戦権を得ました。ところが、フランスワールドカップ本大会の直前、欧州のキャンプ地で、三浦カズは代表メンバーから落選します。

当時も今も「なぜ、欧州まで連れて行って落選させるの?可哀想。」という意見が散見されます。実は、他国の代表では、キャンプ地まで連れて行って、コンディションの良いメンバーを選出する手法を採用しています。当時の日本代表は、初出場でしたから、強豪国のスタイルを真似した形になります。

しかし、三浦カズの落選は、チームに大きな衝撃を与えました。以降、日本代表はフランス大会の教訓として、事前に日本国内でメンバー発表を行ってから、国外のキャンプ地に移動しています。

まとめ

メンバー構成は、極めて妥当でした。理由ですが、
「ぼくのかんがえたさいきょうのちーむ」感に溢れています。

企画あるあるとして、
「10番タイプ多すぎ!」「守備面で不安」「空中戦どうするの」といった、基本ポイントも抑えています。

最終チェックとして、「率いる監督は誰?」と尋ねてみましょう。「ジーコでしょ!」「ジーコ一択!」「ジーコならイケる!」となったら、企画は大成功です。

JFAによると、今回のアンケート結果をもとに、オフィシャルグッズを製作するそうです。どのような商品に仕上がるのか、楽しみに待ちましょう。