メンバー発表!
パナマ戦・メキシコ戦の日本代表メンバーの発表がありました。発表前は、新戦力として加わるのは誰かなーと、楽しみですよね。ワクワクしながら待ちました。
新たに加わったのは2名です。FW浅野拓磨とMF橋本拳人です。前回、コロナ過の影響で招集対象外だった選手です。なんとなく、「元々加えたかったメンバーでは?」感が、ひしひしと伝わってきます。
しかーし、2名とも、所属チームで大活躍しています。FW浅野拓磨は、得点を量産中。ジャガーポーズを連打です。一方、MF橋本拳人も得点を量産中。・・・ボランチですが。なんと、チーム内得点王です。すごすぎです。おそらくですが、男性版「私の背中を見なさい!」を実行していると、思われます。
やっぱりきっかけはアレですかね、森の中での瞑想ですかね。なにせ所属チームの公式動画で、ポツンと1人だけ森の中で精神統一しています。公開当時は、(ファンの間で)ロシアまで行って何をしているんだと騒がれましたが、神秘体験したことで、パワーアップしたのでしょう。見事な活躍っぷりです。
https://www.youtube.com/watch?v=MvXSCpwGrTo&feature=youtu.be
(動画 4分37秒)
【動画の補足説明】
カンフーサッカーの人材集め編 ではありません。出演者のMF橋本拳人のシーンだけ見ると、勘違いする人が居るかもしれませんが、彼は武道の達人ではありません。ごく普通の日本代表のサッカー選手です。(「ごく普通の日本代表のサッカー選手」という肩書、カッコ良すぎです!)
さて・・・、
逆にリストから外れたのは誰かな、と確認してみると、FW岡崎慎司、FW大迫勇也、DF安西幸輝の3名です。ただし、FW大迫勇也はコロナ過の影響でクラブ側の拒否が認められているため、Jリーグ組と同様、招集対象になっていません。メンバー発表も前回は25名でしたが、今回は24名と1名少ないです。減らした1名の枠は、どうみてもFW大迫勇也の枠になってます。
というわけで、ある意味、選手選考に目新しさは無いです。ほぼ前回同様のメンバーです。裏を返せば、今後は今回のメンバーを軸にJリーグ組を加えて、正式な日本のA代表になります。
公式の選手リストを掲載します。
GK
川島 永嗣 (RCストラスブール/フランス)
権田 修一 (ポルティモネンセSC/ポルトガル)
シュミット・ダニエル (シントトロイデンVV/ベルギー)DF
長友 佑都 (オリンピック・マルセイユ/フランス)
吉田 麻也 (サンプドリア/イタリア)
酒井 宏樹 (オリンピック・マルセイユ/フランス)
室屋 成 (ハノーファー96/ドイツ)
植田 直通 (セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)
板倉 滉 (FCフローニンゲン/オランダ)
冨安 健洋 (ボローニャFC/イタリア)
菅原 由勢 (AZアルクマール/オランダ)MF
原口 元気 (ハノーファー96/ドイツ)
柴崎 岳 (CDレガネス/スペイン)
遠藤 航 (VfBシュツットガルト/ドイツ)
伊東 純也 (KRCヘンク/ベルギー)
橋本 拳人 (FCロストフ/ロシア)
南野 拓実 (リバプールFC/イングランド)
鎌田 大地 (アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
中山 雄太 (PECズヴォレ/オランダ)
三好 康児 (ロイヤル・アントワープFC/ベルギー)
堂安 律 (アルミニア・ビーレフェルト/ドイツ)
久保 建英 (ビジャレアルCF/スペイン)FW
鈴木 武蔵 (KベールスホットAC/ベルギー)
浅野 拓磨 (FKパルチザン・ベオグラード/セルビア)
【追記】
MF堂安律もコロナ過の影響で未招集になりました。ドイツは連邦制で州の権限があります。アメリカもそうですが、連邦制では州をまたぐと法律のルールが変わったりします。ドイツの場合、コロナ過の対応の違いで、選手移動に影響が及びます。MF堂安律も、FW大迫勇也と同じく、クラブ側の招集拒否が認められた形です。
心配されるのは、他のドイツ国内クラブ所属の選手に影響があるか、ですが、けっこう不透明だったりします。Jリーグに置き換えてみれば理解しやすいのですが、残留争いをしているチーム同士で、片方は招集を拒否して選手を手元に留めておけます。もう片方は、親善試合で怪我をする可能性もありますし、移動や試合の疲労も考慮しなければなりません。公平性の観点で不満が出ないとも限りません。
実はこれ、事前に予想されていた問題で、波及が大きくなると、協会の次善策を問われそうです。基本的にドイツ国外に飛び火しなければ、催行人数は足りるので、心配は不要です。
一番怖いのは代表チームでのクラスターの発生です。注意していても防げるわけでは無いので、万が一、どちらかのチームで大規模なクラスターが発生したら、当然、試合は中止になります。
選外の有力候補
今回のメンバーリストに掲載されていない、日本代表候補についてです。なおJリーグに所属している選手については、前回と同じく渡航規制の影響で招集の対象外です。
まずは、ポルトガルのFCポルト所属の中島翔哉(なかじま しょうや)です。攻撃のスイッチを入れる役割の選手として、いつ呼ばれても不思議ではない選手です。本人は、所属チームに復帰したばかりですが、今の日本代表では、居ると居ないではチームカラーに影響を与えます。中島抜きのオプションを模索しているとも、受け取れますが所属チームで復帰自体はしましたので、今回の招集見送りは、若干意味合いが異なるかも知れません。(もちろん、外部からでは正確な事情はわかりません。)
ここ最近の活躍という意味では、ベルギーのシャルルロワSC所属の森岡亮太(もりおか りょうた)です。代表の序列争いという意味では、やや枠外に置かれているように見受けられます。チームでは活躍しているけれど、招集のリストになかなか引っかかってこない形です。もちろん、急に呼ばれ始めて代表に定着することもあるのですが、所属チームで今の活躍以上となると、ステップアップしての活躍が必要かも知れません。または、今のチームでチャンピオンズリーズに出場して活躍するとか、です。
招集され難い理由としては、ポジションと年齢になるかと思います。トップ下の序列争いでは、南野、鎌田といった選手と争う形です。では3番手から割り込む形になっていくか、と問われると、若手で最も期待されている久保もいますし、ここ数回招集されていないものの、チームの主軸と目される中島も、トップ下の位置に入れます。最終的には、2番手以内でないと残れないポジションですから、見た目以上に序列争いは厳しい印象です。
年齢は活躍さえしていれば、そこまで気にしなくて良いのですが、それでも、まったく無視してよい要素ではありません。森岡亮太は29才、来年の4月で30才になります。森保監督はオリンピック世代の監督も兼任しているので、比較的、若手を登用しやすい背景があります。現時点でA代表の主軸ならばともかく、今から序列争いで崩していく立場ですから、やや不利であることは否めません。
その他の、最近活躍している選手としては、オーストリアのザルツブルク所属の奥川雅也(おくがわ まさや)です。とはいえ、日本代表では2列目(1.5列目)の序列争いは、最も熾烈とも言えます。序列を崩したければ、得点を積み重ねるか、トップリーグで活躍しなければ厳しいかも知れません。
MF奥川雅也(ザルツブルク/オーストリア)
追加招集決定です!おめでとうございます!
ビックチャンス到来です。最近の活躍が認められた形です。嬉しくなったので、動画紹介です。最近の試合ですが、昨季のチャンピオンズリーグの王者バイエルンを相手に決めたゴール!を含むタッチ集です。ゴール以外でも良いプレーしています。
ドイツ組が、どうなるか不明瞭ですから、もしかしたら他の選手にもチャンスが巡ってくるかも知れません。
タッチ集
https://www.youtube.com/watch?v=oa73FV4qTXI
(動画 2分11秒)
ちなみにタッチ集と言いながら、後半は怒涛のバイエルン側ゴールラッシュです。バイエルン強すぎ。
【追記その2】
残念なお知らせです。コロナ過の影響で、MF奥川雅也は招集できません(JFAの公式発表です)。所属クラブのザルツブルクで検査したところ、チーム内で6選手に陽性反応が出ました。その後、2回目の検査では全員大丈夫(つまり偽陽性)だったという事ですが、日本サッカー協会からすれば、万が一がありますから、招集を見送った形になります。
Jリーグに所属している選手については、前回同様、コロナ過の影響で招集対象外です。
可変式3バック
選手選考に目新しさが無かったので、可変式3バックについて解説したいと思います。
森保監督は、Jリーグの監督時代に可変式3バックのシステムで、Jリーグを席巻しました。4年間で3度のリーグタイトルを獲得しています。で、そのシステムを代表に持ち込むのかな、と思っていたら、日本代表では4バックを採用しています。
可変式3バックは戦術の浸透に時間がかかるため、選手たちの慣れている4バックにしています。(過去に4バックにしている理由を問われ、選手たちの慣れというのを理由にあげていました。)
ただし、監督の色というのはあります。戦術なんかもそうですが、森保監督の場合、試合では4バックを採用していますが、メンバー選考では可変式3バックに適した選手で構成しています。システムが異なっても、得意とする戦術は似てきますから、当然といえば当然です。
そんなわけで、ざっくりと可変式3バックについて解説します。
3-6-1のシステムです。守備時は両翼のウイングバックが降りてくるので5バックになります。守備時に数的優位を保ちやすいシステムです。
で、特徴的なのは、この後になります。まず相手からボールを奪ったら、DFラインでボール回しを始めます。このときに、ボランチが1枚、センターバックの位置に降りてきます。すると、センターバック3枚は横に広がり、疑似的に4バックになります。両サイドのウイングバックと合わせると、DFラインが6名になってしまいますから、さすがに人数が多すぎです。ウイングバックは、ごく自然と1列高い位置にズレます。ここがミソだったりします。
疑似的な4バックのまま、DFラインでボール回しをしつつ、相手が前からプレスをかけるのを待ちます。わざと食いつかせるのですが、相手のマークの受け渡しミスを助長させる効果があります。実は可変式3バックのシステムは、元々相手のマークの受け渡しミスを誘発させやすいシステムです。
わざと食いつかせている間に、同時進行で、ウイングバックは前線に駆け上がります。するとどうでしょう、前線は1トップ+2シャドー+両翼にウイングバックで、計5名に増えています。相手が4バックであろうが、3バックであろうが、必ず数的優位に立ちます。
この瞬間に、DFラインのボール回しを止めて、急にポンッと前線にボールを配給します。
可変式3バックにおける、典型的な遅攻パターンです。そして、森保監督の仕掛ける可変式3バックは、このあとも優れています。もし攻撃陣がボールを失った場合です。無理なく、すぐさまハイプレスに切り替えて、ショートカウンターを連動できます。この「無理なく」というのがポイントです。
相手のDFラインが4バックであろうと、3バックであろうと(サイドが降りてきて、実質5バックになっていたとしても)、味方の選手は5人も最前線に横並びしています。そのため、ほぼポジション修正なしで、敵の最終ラインの全メンバーに対して、1対1の状況を作りだせます。
工夫された遅攻+ハイプレスのショートカウンター。
いわば2段構えの攻撃が、システム的に用意されています。
森保監督の可変式3バックのシステムでは、他にも工夫がたくさんあるのですが、カチっとハマれば、攻守で常に数的優位を保ちつつ、相手マークの受け渡しミスを誘発する、見事なシステムです。伊達に4年間で3度もリーグ優勝していません。ただし強すぎた弊害もあります。Jリーグでは、対戦する相手チームに、かなり研究されてしまいました。しかし日本代表では、選手の質も上がります。今までの相手の対策を上回る可能性も十分あります。
森保監督の可変式3バックは、伝家の宝刀です。日本代表で採用するなら、どこまで通用するのか、非常に楽しみにしています。
森保監督の求めるポジション別の適正
可変式3バックを基準に、ポジション別の適正の有無を説明します。
まずセンターバックから。DFラインでボール回しをするので、足元の技術が必要です。ボールを失ったら、一転してピンチになります。適正という意味では、前線へのフィードが上手ければ、なお良しです。(GKも同様です。GKもパス回しに参加できれば有利です。)
ボランチは具体的に言及します。サンフレッチェ広島時代の、青山選手の役割が理想です。ボールを足元に留めておかないで、前線にパンッと一瞬でロングボールを入れられるタイプです。
そして、最も適正を求められるのが、ウイングバックになります。ここのポジションの質が、如実にシステム全体に影響を及ぼすほど、重要なピースになります。
必須要件として、運動量です。ウイングバックの上下運動が無くなる(遅くなる)と、攻守においてメリットである人数の優位性が崩れます。4バックとは違い、可変式3バックでは、ここのポジションの選手に疲労が見えたら、交代してでも運動量を維持しなければなりません。システムの優位性が崩れるのですから、当然です。むしろ、始めから交代させるつもりで、上下の運動量を増やすことも考慮されます。それほど、キーポイントになります。
Wikiにミシャ式というページあったので、興味のある方は参照してください。
注目してほしいのは、「ミシャ式」の簡略図。左から基本陣形、攻撃時の4-1-5、守備時の5-4-1。と表示されている図です。
可変式3バックシステムの特徴を理解したい方は、「ミシャ式」の簡略図に掲載されている基本陣形は無視してください。ポイントは「守備時の5-4-1」と「攻撃時の4-1-5」です。試合中は、頻繁にこの攻守の切り替えが起こります。机上ですら、ウイングバックの走行距離が、他のポジションより明らかに多いです。机上の理想だけでいえば、2倍ぐらいの走行距離が求められます。実際の試合で、他のポジションの2倍走るのは無理があるので、理想を追及すると、運動量のある選手を起用する形になります。
森保監督の可変式3バックでは、ウイングバックは運動量だけでなく、ドリブル突破を求められます。ここは、けっこう明確な特徴で、適正という意味では人数が大きく絞られます。
残るポジションは、1トップ+2シャドーですが、実はここに関しては他のポジションほど適正を求めていません。ある意味、森保監督の強みです。
特に2シャドーはどのような個性の選手でもOKです。ストライカータイプを並べても良いですし、司令塔タイプを並べても良いです、ドリブラータイプを並べても構いません。裏を返せば、ここの選手のプレースタイルによって、攻撃にバリエーションを創出できるのが、強みです。
選手選考のまとめ
まとめると、メンバーリストから外され難いタイプの選手が浮かび上がります。運動量とドリブル突破の能力のある、ウイングバック適正のある選手です。そして、運動量を担保できなくなれば、真っ先に切り捨てられるポジションでもあります。
他のポジションは、適正という意味では、そこまでシビアではありません。あえて加えるなら、ポリバレント能力はあった方が良いです。森保監督の指向する可変式3バックでは、守備に切り替えるときに、どのポジションでもスペースを埋める能力を求められます。ここも日本的な改良で面白い部分なのですが、デュエルよりもスペース管理能力を重視しています。
ただし、センターバックだけは、身体の強さを優先します。
可変式3バックの弱点の1つは、相手のカウンターが速いとウイングバックが戻り切れず、センターバックのみで対処する必要があります。このとき、1対1で強靭に競り合えないと、あっという間にシュートまで持って行かれます。といっても、日本代表クラスのセンターバックとなると、競り合いに弱い選手は、そもそも呼ばれません。結果的に森保監督の求める適正という意味では、センターバックに過大な要求はされません。日本代表クラスのセンターバックであれば、最初から条件に適合している、といった感じです。
結論です。
森保監督の選手選考は、かなり柔軟です。ウイングバックだけは、運動量とドリブル突破が求められます。しかし、日本代表では4バックを採用しているので、ウイングバックのポジションが存在しません。ざっくりとサイドバックが担当する形になるのですが、センターバックが2名なので、(3バックの)センターバック的な役割も求められます。
結果的に、サイドバックだけは運動量とドリブル突破、身体の強さという3項目が必要になります。日本代表クラスとはいえ、この3項目を満たすとなると、かなり厳しいです。(他のポジションで負担を分担するような構成、および選手選考になっています。)
そこ以外は、誰を選出しても良いほどなので「この選手を差し置いて、なぜこの選手なんだ!」という状況は起きにくいです。
サイドバックだけ求められる適正が、やけにシビア。これが森保監督の選手選考の特徴になります。