試合直後のメッセージ
惜しくもメダル届かず。
3位決定戦を終えて、ピッチに泣き崩れる久保建英の姿に、心が揺さぶられます。
画面を通して応援いるだけなのに、思わず目頭が熱くなります。
戦っていた選手たちですら、懸命に前を向こうとしているのに、我々サポーターがいつまでも泣いているわけにはいきません。
大きな拍手を贈りましょう。大会を通して素晴らしいチームでした。
3位決定戦となった、今大会2度目のメキシコ戦について
スコア的には完敗です。
内容的には、点差ほどの差は無かったのですが、連戦による疲労が表に出てしまった形です。
もちろんメキシコ側も疲労はしているのですが、今大会の日本代表チームの強みである、守備のプレス強度が下がってしまい、グループリーグで対戦したときよりも、相対的に弱体化しています。
先制点はPKでした。
日本側からすれば厳しい判定でしたが、VARで確認して覆らなかった以上、仕方ありません。
その後、セットプレイでも失点してしまい、前半を終えて0-2。
後半の早い段階で得点の欲しかった日本ですが、残念ながら、メキシコに3点目を奪われます。こうなると、日本はわずかな望みにかけて、猛攻するしかありません。
交代出場の三笘薫が、キックフェイント1つで、メキシコ守備陣を置き去りしてゴールを決めます。誰にでも決められるようなゴールではありません。凄みを感じさせるゴールでした。
この後も、猛攻を仕掛ける日本ですが、追加点を奪えずに試合終了です。
最終スコアは1-3。
3失点の内訳は、PK・フリーキック・コーナーキックです。流れの中での失点ではありませんが、起点から失点に至るまでのプレー内容を振り返ると、明らかに疲労蓄積の影響があるので、どの失点も防ぐのは難しいです。
あえて指摘するなら、前半に受け身になってしまったことと、セットプレイでの失点が悔やまれます。
とはいえ、メキシコ戦に関しては、やれることはやった印象です。両チームとも疲労はピークなので、セットプレイの精度で、試合が決まる可能性は多いにありました。
肝心の試合で決めきる、メキシコを褒めるべきです。
大会を通しての、ターニングポイントを検証
大会成績を大きく左右するターニングポイントは見当たらないです。
3位決定戦で敗れて、銅メダルを逃してしまい、凹んでいる人も多いかと思いますが、成績自体は大会ベスト4です。
決して、簡単に辿り着ける成績ではありません。また、これ以上の結果を得るほどのターニングポイントとなると、後出しジャンケンで検証しても、簡単には見つかりません。
例えば、準決勝のスペイン戦は0-1ですが、内容的には完敗です。ちょっとやそっとの原因では覆りません。また、3位決定戦も3失点していますから、こちらも同様です。
強引ですが、あえて
『疲労度を抑える』だけに絞れば、ターニングポイントは2カ所です。
1つめは、グループリーグ2戦目のメキシコ戦です。
レッドカードにより相手側が10人となりました。この時点では2-0でした。もしここで、追加点を奪い3-0、4-0と突き放していたら、フランス戦は余裕をもって戦えました。もしかしたら、主要メンバーの疲労を軽減できたかも知れません。
2つめは、トーナメント初戦のニュージーランド戦です。
90分で試合を終えていたら、疲労は抑えられたはずです。
ただし、これらで疲労を抑えたとしても、確信をもって、結果は異なっていた!と主張するほどではありません。
良くも悪くも、大会ベスト4の結果に収まっていた公算が高いです。
負けてしまうと、指揮官の采配に批判が集まりますが、スペイン戦の被支配率や3失点のメキシコ戦において、小手先の変更で、結果をひっくり返せる状況でもありません。
さらに別視点から考察してみます。
『もし最初から22人枠なら、メンバー選考が異なるので、もっと良い結果を得られたのでは?』という疑問です。
が、こちらも結果は変わりません。
多少メンバーが入れ替わっても、軸となる主力メンバーは同じです。
22人枠をフル活用しても、そこまで大幅な戦力アップにはなりません。
もちろんスペイン戦に関しては、偶然の1発で、勝つこともあったかも知れませんが、それを言うなら、18人枠の冨安健洋、三笘薫、上田綺世の3人が、ベストコンディションで参加できた方が、よほど突破する確率は上がったでしょう。
(この3人がベストの状態であれば、ターンオーバーも容易だったはずです)
結論として、
後出しジャンケンで検証しても、ベスト4以上の結果を得るのは難しいです。それこそ、負けの許されない試合で『ベストメンバーを温存してサブメンバーで勝負する』ぐらいの奇策で勝ち上がらないと、結果は覆らないです。
現実的に、負ければ敗退決定の試合で、サブメンバーで勝負するような、無謀な采配はできません。
たられば、でよければ、
グループリーグのフランスvs南アフリカの試合が、同点だったら日本は有利でした。勝ち点の関係で、完全にターンオーバーできるので、疲労を軽減できました。
ただし、そこまで行くと、分析ではありません。日本の実力とは無関係です。
W杯へ向けて
今回の東京オリンピックで得た教訓を整理します。
W杯本大会で決勝トーナメントを勝ち上がっていくには、主軸を担う選手たちの疲労回復が重要です。結果的に、グループリーグで、主力を休ませる戦い方を求められます。
今までの教訓では、最も大事な戦いは、グループリーグ初戦でした。
しかし、今後は異なってきます。
初戦および2戦目で勝利を収めて、3戦目でターンオーバーを目指すべきです。主力メンバーを完全に休ませるのは、これしか手段がありません。
逆算すると、日本が取り組むべき課題が見えてきます。
サブメンバーでも、グループリーグで最も弱いと予想される国には、勝てるだけの選手層が必要です。
W杯は参加チーム数を拡大させるのが基本路線ですから、参加国が増えるほど、選手層の厚みが重要なキーワードになってくるはずです。
とはいえ、
実はあまり心配していません。日本は徐々に選手層を厚くしています。現時点で、海外組だけでもチームを組めるほどに成長しています。Jリーグのレベルが向上する限り、この流れが変わることはありません。むしろ、より加速していきます。
今後の日本代表の活躍に期待しましょう。
がんばれ日本!
今回のおすすコラム
筆者の選ぶ、各誌メディアの『おすすめサッカーコラム』を紹介するコーナーです。
メキシコとの再戦ということで、コラム総数は多かったです。おそらくですが、グループリーグで対戦しているので、分析記事も書きやすく、また事前に対戦相手の情報を仕入れていて、記事を構成しやすかったのでしょう。
今回紹介するのは5つ(前編・後編のコラムがあるので正確には4つ)です。
「メキシコ戦の敗退を重く受け止めるべき」中西哲生が分析する“日本が五輪やW杯で勝つために何が必要なのか?”
https://number.bunshun.jp/articles/-/849291
【メキシコ戦、中村憲剛解説】久保建英の「涙」に考えさせられた「個人とチーム」責任の背負い方【東京五輪】(1)
https://soccerhihyo.futabanet.jp/articles/-/90590?page=1
【メキシコ戦、中村憲剛解説】三笘薫が輝けた「川崎フロンターレの形」と五輪後の「日本サッカーへの期待」【東京オリンピック】(2)
https://soccerhihyo.futabanet.jp/articles/-/90591?page=1
サッカー森保監督、選手成長見て「フル代表につながると思った」
https://mainichi.jp/articles/20210807/k00/00m/050/250000c
【関塚隆の目】銅メダルに届かなかったメキシコとの“リターンマッチ”の難しさ。上手く試合に入れなかった要因は…
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=95864