ベトナム・オマーン戦のメンバー発表と4-3-3システムについて

Vietnam-Oman コラム

【W杯最終予選】ベトナム戦・オマーン戦のメンバー発表

GK
川島永嗣(RCストラスブール/フランス)
権田修一(清水エスパルス)
谷晃生(湘南ベルマーレ)

DF
長友佑都(FC東京)
吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
酒井宏樹(浦和レッズ)
谷口彰悟(川崎フロンターレ)
山根視来(川崎フロンターレ)
室屋成(ハノーファー96/ドイツ)
板倉滉(シャルケ04/ドイツ)
中山雄太(PECズヴォレ/オランダ)
旗手怜央(川崎フロンターレ)
冨安健洋(アーセナル/イングランド)

MF/FW
大迫勇也(ヴィッセル神戸)
原口元気(1.FCウニオン・ベルリン/ドイツ)
柴崎岳(CDレガネス/スペイン)
遠藤航(VfBシュツットガルト/ドイツ)
伊東純也(KRCヘンク/ベルギー)
浅野拓磨(VfLボーフム/ドイツ)
南野拓実(リバプールFC/イングランド)
古橋亨梧(セルティック/スコットランド)
守田英正(CDサンタ・クララ/ポルトガル)
鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
三笘薫(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)
前田大然(横浜F・マリノス)
上田綺世(鹿島アントラーズ)
田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)

JFA公式
http://www.jfa.jp/samuraiblue/news/00028256/

三笘薫と旗手怜央はA代表初選出です。おめでとうございます!

メンバーリストを見ると、東京オリンピックのU-24代表のメンバーが増えました。また、川崎フロンターレに所属している(所属していた)選手も多いです。

選手間の連携という意味では、『東京オリンピック世代+A代表の主軸』や『川崎フロンターレ+A代表の主軸』といった戦術オプションも可能です。

三笘薫がついに序列争いに参戦!

招集リストの序列争いについてです。
まずGKは変わらず、先月の2連戦と同じメンバーです。

センターバックは4名です。前節までは海外組の植田直通が招集されていましたが、今回は、川崎フロンターレでキャプテンを務めている谷口彰悟です。序列が入れ替わった可能性があります。

サイドバックは6名選出です。人数枠としては明らかに多いです。今回は、左右の3枠目に川崎フロンターレの両サイドバックが選出されました。これにより、いざとなれば、ボランチを含めて川崎フロンターレの守備陣で固められます。

MFですが、ボランチは序列争いに変化はありません。

攻撃的MFですが、なんと言っても注目は『三笘薫』です。

欧州視察に赴いていた、日本代表の横内コーチと下田GKコーチの目の前で、途中出場でハットトリックの大活躍です。試合経過も劇的でした、所属チームは0-2で負けていて、レッドカードで1人退場者を出して10人になるという、ほぼ負け試合とも言える状況で、後半のわずか35分間で、個人技で3得点を叩きだします。

現地ではちょっとしたフィーバーになりました。

三笘はJリーグの川崎フロンターレでも活躍していましたが、ベルギーでもJリーグ同様に、非凡な才能を見せつけた形です。

W杯アジア最終予選に入ってからの日本代表は得点力不足に悩んでいます。得点を決めきず、辛勝や敗戦となっているので、三笘にかかる期待は大きいです。

FWも序列争いに変化はありません。アタッカーの久保建英と堂安律は怪我です。

代わりに新戦力として、Jリーグで活躍している選手をメンバーに加えました。前田大然は、現在Jリーグの得点ランキングでトップの18得点です。上田綺世は、今季は怪我もあって出場試合数はやや少ないのですが、25試合13得点とランキング上位に位置しています。

他にも、4-3-3ならスピードのある伊東純也・古橋亨梧・浅野拓磨・三笘薫、4-2-3-1のトップ下なら鎌田大地・南野拓実といったように、攻撃陣のオプションは豊富です。

ベトナム・オマーンとアウェー2連戦ですが、ここで勝点を落とすと予選敗退もあり得るので、必ず勝利してもらいたいです。

ガンバレ日本!

【オーストラリア戦】敵チームのスカウティングを無効化した、4-3-3

オーストラリア戦について振り返ります。

オーストラリア戦で勝利した最大のポイントは、4-3-3システムの採用です。W杯出場が危ぶまれる状況で、博打とも言えるほどの果敢な決断です。

システム変更に際し、準備できる期間はわずか2日間のみ。高いインテンシティを保ったまま、試合を遂行した選手達は、おおいに褒められるべきです。

さらっと解説するなら、今までの日本代表は、4-2-3-1で、トップ下とダブルボランチを配置するシステムで戦ってきました。4-3-3に変更したことで、日本のお家芸であるトップ下のポジションを排除した形になります。

中盤3枚は、アンカーとインサイドハーフ2枚です。

オーストラリア側からすれば、突然のシステム変更で、今までのスカウティングが無効化されました。日本のトップ下をマークするはずのボランチが、固定マーカーを失います。さらに、日本側のボール配給源であったダブルボランチは存在せず、代わりにアンカーとインサイドハーフ2枚が連動して、ピッチ内を縦横無尽に動きます。いわば可変トリプルボランチによって、ボールの狩り所を絞らせません。

もちろん、短時間で準備したのですから、現時点では完成度は完璧ではありません。ですが、試合前の段階で、オーストラリアはグループ首位、しかも11連勝中の好調なチームでした。そのチームを相手に新システムで勝利したのは、大きな収穫です。

結果的に日本代表は、4-2-3-1と4-3-3の2通りのオプションを手に入れました。

今後は試合中に選手の配置を変えるだけで、システムを変更できます。しかも、試合を重ねるほど4-3-3システムの完成度も上昇するでしょうから、間違いなく強いチームになります。

【サウジアラビア戦】痛恨の敗戦ですが、そもそも初戦オマーンで負けたのでキツくなっただけ

サウジアラビア戦ですが、内容よりも結果です。正直に言えば、この試合で敗れたのは非常に悔しいのですが、そもそも論で言えば、初戦のオマーン戦で敗れてしまったのが、ある意味、大きな敗因でもあります。

W杯アジア最終予選は、10試合あります。

第1節(H) 日本 vs オマーン
第2節(A) 中国 vs 日本
第3節(A) サウジアラビア vs 日本
第4節(H) 日本 vs オーストラリア
第5節(A) ベトナム vs 日本
第6節(A) オマーン vs 日本
第7節(H) 日本 vs 中国
第8節(H) 日本 vs サウジアラビア
第9節(A) オーストラリア vs 日本
第10節(H) 日本 vs ベトナム

この10戦で最も難しいであろう試合と予想されていたのは、3戦目のアウェーのサウジアラビア戦です。(アジア予選では、審判の笛も絡んできます。)

逆に1戦目のホームのオマーン戦は、かなり楽観視されていました。まず勝てるだろうと、誰もが予想していました。ところがフタを開けてみれば、皆さんご存じの通り衝撃の敗戦です。

もちろん、サッカーの世界では、ジャイアントキリングは起きやすいのですが、タイミングとしては最悪です。

結局、初戦の敗戦によって、無用なプレッシャーを生みました。アウェーとはいえ、もしサウジアラビアに負けてしまったら、3戦して1勝2敗の勝点3だけです。

ポット1の強豪国としては、あり得ない戦績ですし、当然、監督解任論は吹き荒れるでしょう。本選出場を考えても、いきなり崖っぷちに追い込まれます。

負けは許されない状況で、残念ながら敗けてしまい、各誌メディアやSNS等では『監督解任』の文字が踊ります。

実際、4戦目のホームのオーストラリア戦において引き分け以下だったら、監督解任もあったでしょう。特に敗れていたら、W杯出場を逃しかねない戦績ですから、カンフル剤として監督交代ぐらいしか、有効な策がありません。

監督交代は劇薬です。指揮官が交代して、好転することもあるのですが、さらにチームがボロボロになるなんてのも、良くあるパターンです。

サウジアラビア・オーストラリア戦のまとめ

『監督解任』についてですが、現時点では続投が無難です。理由を説明します。

まず、監督交代をしたほうが好転する状況というのは、選手たちの不満が隠しきれず、新しい監督を望んでいるときです。

その点、今の日本代表の選手たちは、監督に対して不満を抱いている様子はありません。どちらかと言えば、自分たちの姿勢を問題視しています。

ひらたくいえば、『本来、自分達の実力を発揮できれば勝てる!』のに、『自分たちが不甲斐なくて負けてしまった』という雰囲気です。

どこの角度から見ても、メンバーの不協和音で、チームが崩れている感じではありません。

もちろん、監督交代の判断は、戦績が最優先です。11月のベトナム・オマーンとのアウェー2連戦ですが絶対に負けは許されません。非常にプレッシャーがかかるでしょう。

ですが、メンタル的には指揮官を交代する場面ではありません。重圧のかかるオーストラリア戦で、勝利を収めました。試合後にピッチ上で円陣を組んでいましたが、端から見ていても、明らかにチームの結束が高まっています。こういう雰囲気のときは、チームは強いです。

まだまた余談を許さない状況ですが、我々の日本代表チームの、今後の巻き返しに期待したいところです。ガンバレ日本!

恒例の各誌メディアのサッカーコラム紹介コーナー

サウジアラビア戦・オーストラリア戦のサッカーコラムは、Web上の記事だけでも、軽く200以上は目を通しています。今回、筆者がおすすめとして紹介するのは『中村憲剛+戸塚啓』の記事です。どれも読み応えあるので時間軸に沿って3つ紹介しますが、最もおすすめは、3つ目の記事です。

特におすすめは、この記事です。

前後編あわせて、9ページあるのですが、最も感情移入できるのは前編の1ページ目です。試合直後の興奮が伝わってくる良記事です。まだ目を通していないサッカーファンの方は、ぜひ読んで見てください。